小川哲さんの「君のクイズ」を
読みました。
2年ぐらい前の本ですが
かなり目立つ色合いの表紙で
発売当初から気になっていました。
小川哲さんについては
何かの文芸誌を読んだときに
短編が入っていて
その時読んだのは就活の
話だったのですが
主人公がこれまでに自分が考えたことのない
発想をしていて
他の本も読んでみたいと思い
「ユートロニカのこちら側」を
読んだのが始めの出会いでした。
その後「ゲームの王国」も読んだのですが
作品としても長く、登場人物も多めで
連休を使って読んだので
「地図と拳」が出たときには
気になるけど気軽に手を出せないと
躊躇してしまっていました笑
その点、「君のクイズ」は
一般的な長さで、登場人物も少ないので
初めて小川哲さんの小説を読む場合には
入りやすいと思います。
「君のクイズ」は、
クイズ大会で相手が問題が読まれる前に
回答ボタンを押し、なぜか正解した一問の
真相を解き明かすために
主人公が少しずつ情報を集めて
推理していくお話でした。
ここからは少しネタバレになる
可能性があるので
小説を読みたい方は読まないでください。
「クイズ」が自分にとってはどういうものか
というのがポイントになる話で、
SEKAI NO OWARIの「人はそれぞれ正義があって」
という歌詞が頭に流れてきます。
なぜそれをやるのかの理由が違う場合に
相手の行動は理解はできるけど
共感はできないというのが
きれいに描き出されており
また、理由が違えばその物事に
取り組むアプローチも
変わりうるというのも
一つ特徴的だったなと感じています。
そういう意味では何かを極めるときに
自分と似ている人とは自然に交わるけど
あえて全然違う目的でやっている人と
交流することで新しい視点が
生まれるというのは
往々にしてありそうだなと思いました。
今回の経験をまた糧にしてクイズに
取り組んでいく主人公の姿が
描かれてますが
クイズは人生の経験から
成り立っているというのも
クイズはやっていない彼女との
交流があったから
色濃く出てきて
その事実に気づきやすくなった
というのもあるだろうな
と思います。
この小説はクイズの出題者が
人間であることから
話が成り立っていますが
もし出題が完全にAIによる
ものになったら
今度は裏側のロジックを
解明しにいくんだろうかなどと
どうでもいい疑問が
浮かんできます。
AIが身近になったことで
掛け合わせで小説の題材の幅が
増えていきそうなので
これからまた面白い小説が
出てくるのが楽しみです。
地図と拳はどこかの連休に
読みたいと思います笑